はじめに
「利回り8%なのに、全然お金が残らない…」その理由
不動産投資の相談で、とても多いのがこの声です。
「表面利回り8%って書いてあったのに、
思ったほどお金が残らないんです…」
実はこれ、珍しい失敗ではありません。
原因はシンプルで、“見落とし費用”が利回りを静かに削っているからです。
この記事では、
✔ 初心者が特に見落としやすい費用
✔ 数字に出にくいけど確実に効いてくる費用
✔ 実質利回りを正しく計算するための視点
を、一覧形式で分かりやすく解説します。
そもそも「実質利回り」とは?
まず前提として整理しておきましょう。
- 表面利回り
👉 家賃収入 ÷ 物件価格
👉 広告に必ず書いてある数字 - 実質利回り
👉 家賃収入 − 各種費用 ÷ 実際にかかった総額
👉 あなたの手元に残るお金に近い数字
問題は、この「各種費用」を甘く見積もってしまうことです。
実質利回りを下げる「見落とし費用」一覧
① 管理費・管理委託料
- 家賃の 5〜10% が相場
- 毎月、確実に引かれる固定費
▶ 見落としポイント
「安いから」と管理内容を見ずに契約すると、
空室対応が弱く、結果的に収益が下がることも。
管理費・管理委託料|「楽をする代わりに払うお金」
まず、何のお金?
管理費とは、
「オーナーの代わりに、面倒なことを引き受けてもらう費用」です。
- 入居者からの電話対応
- 家賃回収
- クレーム処理
- 更新・退去手続き
相場は 家賃の5〜10%。
具体例で考えてみる
家賃7万円
管理費8%の場合
- 月:5,600円
- 年:67,200円
👉 家賃ほぼ1ヶ月分が、毎年静かに消える
これ、派手さはありませんが、
確実に実質利回りを削ります。
例え話
これは、
「毎月、自動的に引き落とされる“サブスク”」
のようなもの。
使っている実感が薄いほど、
気づいたら大きな金額になっているのが管理費です。
見落としポイント
- 利回り広告には含まれていない
- 安すぎる管理=仕事をしない管理の可能性
- 空室対策の質が、収益に直結する

② 修繕費・原状回復費
- 壁紙・床・設備交換など
- 一度に 数十万円 かかることも珍しくない
修繕費・原状回復費【一番の落とし穴】
よくある勘違い
「今キレイだから、しばらく修繕費はいらないですよね?」
これは、不動産投資で本当によくある誤解。
具体例で考えてみましょう
たとえば――
築20年のワンルームマンションを購入。
- 表面利回り:8%
- 家賃:7万円
- 見た目:内見時はキレイ✨
ところが、
入居者が3年住んで退去したあとにこうなります。
- 壁紙全面張り替え:8万円
- 床補修:5万円
- エアコン交換:12万円
👉 合計25万円
これ、
✔ 表面利回りの計算には
✔ 1円も入っていません
なぜ「必ず」起こるのか?
理由はシンプルで、
- 人が住めば
- 設備は使われ
- 物は必ず劣化する
から。
修繕費は
❌「もし起きたら払うお金」
⭕「いつか必ず払うお金」
なんです。

③ 固定資産税・都市計画税
- 年に1回まとめて請求される
- 地味だけど、毎年必ずかかる
固定資産税・都市計画税|「持っているだけでかかる税金」
どんな税金?
物件を「所有している」だけで発生する税金。
- 入居者がいても
- 空室でも
- 赤字でも
必ず請求されます。
具体例
年間12万円の固定資産税
- 月換算:1万円
👉 空室2ヶ月なら
家賃2ヶ月分ではなく、税金2ヶ月分がそのまま持ち出し
例え話
これは、
「乗っていない車にもかかる自動車税」
と同じ。
使っていなくても、
持っているだけでお金が出ていく税金です。
見落としポイント
- 利回り計算から抜け落ちやすい
- 月割りで考えないと痛い
- 新築でも数年後に評価額が上がることがある

④ 空室期間の家賃ロス
- 入居者がいない=収入ゼロ
- それでもローン・税金・管理費は発生
空室期間の家賃ロス【数字に出ない減収】
表面利回りの前提は「ずっと満室」
広告に書かれている利回りは、
1年365日、1日も空室がない前提で計算されています。
でも現実はどうでしょう?
例え話で考えてみる
家賃7万円の物件が、
退去 → 次の入居まで 2ヶ月空室。
- 本来の年間家賃:84万円
- 空室2ヶ月:14万円マイナス
👉 年間収入は 70万円
この時点で、
利回りは一気に下がります。
さらに怖いポイント
空室中でも…
- ローン返済:あり
- 管理費:あり
- 固定資産税:あり
👉 出ていくお金は止まらない
空室は
「収入が減る」だけでなく
**「持ち出しが発生する期間」**なんです。

⑤入居者募集の広告費(AD)
- 家賃1ヶ月分が相場
- 空室が出るたびに発生
広告費(AD)【空室が出るたびに発生】
初心者が見落としやすい理由
- 毎月じゃない
- 表に出にくい
- 管理会社任せになりがち
でも、確実に効いてきます。
具体例
家賃7万円
広告費:家賃1ヶ月分
👉 1回の募集で7万円
これが、
- 2年に1回退去 → 年換算3.5万円
- 1年に1回退去 → 年7万円
利回りにどう影響する?
年間7万円ということは、
- 家賃1ヶ月分が
- 丸ごと消える
表面利回り8%の物件でも、
中身は6%台まで落ちることも珍しくありません。

⑥ 火災保険・地震保険
- 数年分をまとめて支払うことが多い
- 物件種別・エリアで金額が大きく変わる
火災保険・地震保険|「滅多に使わないけど、ないと困る」
なぜ必要?
- 火災
- 水漏れ
- 台風・大雪
「起きてほしくないこと」への備え。
具体例
- 火災保険5年:5万円
- 地震保険5年:3万円
👉 合計8万円
👉 年換算:1万6千円
例え話
これは、
「健康なときに払っている医療保険」
と同じ。
使わない年がほとんどだけど、
一度使うと、入っていて本当に良かったと思う。
見落としポイント
- 一括払いで高く見える
- 年換算すると利回りに影響
- 安さだけで選ぶと、補償が足りない

⑦ ローン関連費用
- 事務手数料
- 保証料
- 金利(特に変動金利)
ローン関連費用|「数字が合っていた計画を壊すもの」
含まれる費用
- 事務手数料
- 保証料
- 金利
特に注意が必要なのが 金利。
具体例
借入:2,000万円
金利:0.8% → 1.3%(0.5%上昇)
👉 年間返済額:約10万円増
例え話
これは、
「家計で、気づかないうちにスマホ代が毎月8,000円増えていた」
ような感覚。
一度上がると、
下げるのは簡単ではありません。
見落としポイント
- 変動金利は特に影響大
- 利回りは一気に逆転する
- 「今の金利」で安心しない

⑧ 税金(所得税・住民税)
- 家賃収入=そのまま手取りではない
- 利益が出れば、当然課税される
税金(所得税・住民税)【最後に効いてくる一撃】
よくある勘違い
「家賃 − ローン返済 = 手取り」
これは半分正解、半分不正解。
具体例
年間の帳簿上の利益:50万円
ここに、
- 所得税
- 住民税
がかかります。
仮に税率20%なら、
👉 10万円は税金
手元に残るのは
40万円
なぜ「最後に効く」のか?
- 最初は「黒字で安心」
- 後から税金請求
- 思ったより残らない
という流れになるから。

⑨ 時間と手間という“見えないコスト”
- クレーム対応
- 管理会社とのやりとり
- 確定申告
時間と手間という“見えないコスト”
「数字に出ない最大の負担」
お金は減らない。でも、確実に削られる
- 夜中のクレーム電話
- 管理会社とのやり取り
- 修繕の判断
- 確定申告
具体例
副業で不動産投資をしている人が、
- 月5時間対応
- 年60時間
時給2,000円換算すると、
👉 年12万円分の労力
例え話
これは、
「無料だと思って引き受けた町内会の役員」
に近い。
お金は払っていないのに、
時間と気力は確実に持っていかれる。
見落としポイント
- 初心者ほど負担が重い
- 精神的ストレスが積み重なる
- 長期投資では無視できない

まとめ
- 管理費・管理委託料
- 修繕費・原状回復費
- 固定資産税・都市計画税
- 空室期間の家賃ロス
- 入居者募集の広告費(AD)
- 火災保険・地震保険
- ローン関連費用
- 税金(所得税・住民税)
- 時間と手間という“見えないコスト”
「利回りが高い=儲かる」ではない
実質利回りを下げるのは、
派手な失敗ではありません。
こうした
地味で、静かで、確実なコストです。
そして不動産投資で大切なのは、
どれだけ稼げるかより
どれだけ残るか
です。
表面利回りは、あくまで「入口の数字」。
本当に見るべきなのは、
見落とし費用をすべて引いたあとの実質利回りです。
この記事が、
あなたや、あなたの大切な家族を
「失敗しない選択」に近づけられたら嬉しいです。
