「家を建てるなら、1,000万円援助するよ」
親からそう言ってもらえたら心強い一方で、「1,000万円も受け取ったら、贈与税はいくらかかるの?」と心配になりますよね。
結論からいうと、2026年中に親から住宅資金1,000万円の贈与を受け、要件を満たす省エネ等住宅を建てる場合、贈与税は0円にできます。 一方、省エネ等住宅以外では、同じ1,000万円でも贈与税は原則48万5,000円。住宅取得等資金の非課税制度を使えなければ、原則177万円です。
しかも、贈与税が0円でも申告は必要です。申告しなければ、最大1,000万円の非課税制度は自動的に適用されません。
この記事では、2026年8月23日時点の国税庁の公開情報に基づき、親から1,000万円をもらって家を建てる場合について、税額、非課税要件、申告期限、必要書類、失敗しやすいポイントまで順番に解説します。
この記事の前提
日本国内に自分が住む家を新築し、18歳以上の子が実父母または養父母から現金1,000万円を受け取る一般的なケースを想定しています。ほかの贈与、国外居住、過去の特例利用、親の相続が近い場合などは結果が変わることがあります。
【結論】自分の親から1,000万円なら0円・48万5,000円・177万円が基本

まずは、あなたの税額に近い欄を確認してください。
| 1,000万円の使い方・住宅 | 適用する制度 | 贈与税額の目安 | 申告 |
|---|---|---|---|
| 要件を満たす省エネ等住宅を建てる | 住宅取得等資金の非課税1,000万円 | 0円 | 必要 |
| 省エネ等住宅以外を建てる | 非課税500万円+暦年課税の基礎控除110万円 | 48万5,000円 | 必要 |
| 自分の親からの贈与だが住宅の特例を使えない | 暦年課税の基礎控除110万円のみ | 177万円 | 必要 |
| 配偶者の親から受ける、または受贈者が18歳未満 | 暦年課税の基礎控除110万円+一般税率 | 231万円 | 必要 |
| 相続時精算課税を選ぶ | 年110万円の基礎控除+累計2,500万円の特別控除 | 贈与時は0円にできる場合あり | 選択届出・申告が必要 |
※上から3行目までは、18歳以上の子が自分の親から贈与を受け、2026年にほかの暦年贈与がなく、過去の特例利用もない場合の計算です。
※相続時精算課税は「永久に非課税」になる制度ではありません。詳しくは後述します。
国税庁によると、住宅取得等資金の非課税制度は、2024年1月1日から2026年12月31日までの贈与が対象です。非課税限度額は、省エネ等住宅が1,000万円、それ以外の住宅が500万円とされています。
参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
現行法では2026年が適用期限の最終年です。2027年以後も同じ内容で続くとは限らないため、2027年に贈与する場合は制度の延長・変更を確認してから実行してください。また、2024年または2025年にこの制度で非課税にした金額がある人は、その金額を差し引いた残額が2026年に使える限度額となります。
あなたはいくら?30秒でわかる判定チャート
次の順番で確認すると、自分がどのパターンに当てはまるか判断しやすくなります。
- 贈与した人は、自分の父母・祖父母ですか?
はい → 2へ
いいえ(配偶者の親、兄弟、叔父・叔母など)→ 原則として住宅資金の非課税制度は使えません。配偶者の親から1,000万円を直接受け取るケースでは、ほかの贈与がなければ一般税率による贈与税231万円が目安です。 - もらうのは家そのものではなく、家を建てるためのお金ですか?
はい → 3へ
いいえ(親名義の家をもらう、完成後のローン返済資金をもらう)→ この制度の対象外です。 - 2026年中に贈与を受けますか?
はい → 4へ
2027年以降 → 2026年8月23日時点では、同じ制度を使えるとは限りません。贈与前に最新制度を確認してください。 - 2026年1月1日時点で18歳以上ですか?
はい → 5へ
いいえ → 住宅資金の非課税制度は使えません。ほかの贈与がなければ一般税率による贈与税231万円が目安です。 - 合計所得金額と家の床面積など、後述する要件をすべて満たしますか?
はい → 6へ
いいえ → 非課税制度を使えない可能性があります。 - 省エネ等住宅であることを、所定の証明書で証明できますか?
はい → 1,000万円まで非課税。贈与税0円。ただし申告必要
いいえ → 非課税枠は500万円。ほかの贈与がなければ、贈与税48万5,000円が目安
「省エネ住宅だと思う」だけでは、1,000万円枠は使えません。基準を満たしていることに加え、申告時に住宅性能証明書などを提出できることが重要です。
ケース1:省エネ等住宅なら贈与税は0円
親から受け取った1,000万円を、要件を満たす省エネ等住宅の新築代金に全額充てる場合は、住宅取得等資金の非課税限度額1,000万円以内に収まります。
計算
1,000万円 − 住宅取得等資金の非課税1,000万円 = 課税対象0円
贈与税:0円
さらに、この非課税制度は暦年課税の基礎控除110万円と併用できます。その年にほかの贈与がなければ、住宅資金1,000万円に加えて、別の贈与110万円まで贈与税がかからない計算です。ただし、110万円は贈与者ごとではなく、原則として受贈者が1年間にもらった暦年贈与の合計に対する基礎控除です。
大切なのは、税額が0円でも、2027年3月15日までに贈与税の申告をすることです。国税庁も、非課税額以下の贈与であっても、この制度を使うには期限内申告が必要だと明記しています。
参考:国税庁「住宅取得等資金が非課税となる金額以下の場合の申告の要否」
ケース2:一般住宅なら贈与税は48万5,000円
省エネ等住宅に該当しない住宅の非課税限度額は500万円です。残りの500万円から暦年課税の基礎控除110万円を差し引き、390万円に特例税率を適用します。
計算
1,000万円 − 住宅取得等資金の非課税500万円 − 基礎控除110万円 = 390万円
390万円 × 15% − 10万円 = 48万5,000円
18歳以上の子が実父母・養父母や祖父母から受ける贈与には、「特例贈与財産用」の税率を使います。基礎控除後の課税価格390万円は税率15%、控除額10万円です。
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
なお、同じ年に住宅資金以外の贈与を受けている場合は、基礎控除110万円の残りが少なくなる、またはなくなるため、48万5,000円より高くなることがあります。
ケース3:住宅資金の非課税制度を使えないと177万円
贈与の相手、年齢、所得、建築時期、入居時期などの要件を満たさない場合は、住宅取得等資金の非課税制度を使えません。暦年課税の基礎控除110万円だけを使うと、次の計算になります。
計算
1,000万円 − 基礎控除110万円 = 890万円
890万円 × 30% − 90万円 = 177万円
「親からのお金だから税金はかからない」「住宅に使えば自動的に非課税」と考えて申告しないのは危険です。住宅資金の非課税制度は、要件を満たし、期限内に申告して初めて使えます。
この177万円は、2026年1月1日時点で18歳以上の人が、自分の父母・祖父母から受け取る「特例税率」での計算です。配偶者の親から直接もらう場合や18歳未満の場合は一般税率となり、ほかの贈与がなければ、890万円 × 40% − 125万円 = 231万円が目安です。
そもそも「住宅取得等資金の贈与税の非課税」とは?
住宅取得等資金の非課税とは、父母や祖父母などの直系尊属から、自分が住む住宅の新築・取得・増改築に使うお金をもらった場合に、一定額まで贈与税を非課税にできる制度です。
2026年中の贈与に適用される限度額は次のとおりです。
| 住宅の種類 | 非課税限度額 | 暦年課税の基礎控除と合わせた非課税額の目安 |
| 省エネ等住宅 | 1,000万円 | 最大1,110万円 |
| それ以外の住宅 | 500万円 | 最大610万円 |
この制度の対象は、家を建てる・買うための金銭です。親が所有する土地や家そのものを贈与してもらう場合には使えません。また、すでに住んでいる家の住宅ローンを返済するためにもらったお金も対象外です。
参考:国税庁「No.4508 Q&A」
1,000万円まで非課税になる「省エネ等住宅」の基準

新築住宅で1,000万円枠を使うには、次のいずれかの性能基準を満たし、所定の書類で証明する必要があります。
| 区分 | 新築住宅の基準 |
| 省エネルギー性能 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上 |
| 耐震性能 | 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上、または免震建築物 |
| バリアフリー性能 | 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上 |
3区分すべてを満たす必要はなく、いずれか1区分を満たせば対象になり得ます。 ただし、省エネルギー性能で判定する場合は、「断熱等性能等級5以上」と「一次エネルギー消費量等級6以上」の両方が必要です。
証明書の代表例は、住宅性能証明書、建設住宅性能評価書の写し、住宅省エネルギー性能証明書、認定長期優良住宅に関する一定の書類などです。家を建てた後に慌てないよう、契約前にハウスメーカーや工務店へ「住宅資金贈与の1,000万円枠に使える証明書を発行できるか」と確認しておきましょう。
基準と証明書の詳細は、国税庁の最新ページで確認できます。
参考:国税庁「No.4508 非課税限度額・省エネ等基準」
非課税制度を使うための要件チェックリスト
住宅が省エネ等住宅かどうかだけでなく、贈与を受ける人、贈与の時期、家の面積、入居期限など、すべての要件を満たす必要があります。
贈与を受ける人の主な要件
- 贈与時に、贈与者の直系卑属であること
- 贈与者が自分の父母・祖父母などの直系尊属であること
- 2026年1月1日時点で18歳以上であること
- 2026年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 家の登記簿上の床面積が40㎡以上50㎡未満なら、合計所得金額が1,000万円以下であること
- 2009年分から2023年分までの申告で、原則として同じ住宅取得等資金の非課税制度を使っていないこと
- 配偶者や親族など、一定の特別関係者から家を買ったり、その人に建築を請け負わせたりしていないこと
- 贈与時に日本国内に住所があること(国外居住者には別の判定あり)
ここでいう「合計所得金額」は、単純な給与の額面年収ではありません。給与所得、事業所得、不動産所得などを税法上の方法で計算した合計です。上限に近い人は、源泉徴収票の支払金額だけで自己判断せず、税理士または税務署に確認しましょう。
なお、2024年または2025年にこの制度を利用している場合は、過去に非課税とした金額だけ2026年の限度額が減ります。たとえば省エネ等住宅について2025年に600万円を非課税にしていれば、2026年に使える残額は原則400万円です。
家の主な要件
- 日本国内にある住宅であること
- 自分が住むための住宅であること
- 登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 床面積の2分の1以上を自分の居住用に使うこと
- 贈与を受けた人が建物を所有すること(共有持分でも可)
- 2027年3月15日までに、贈与された資金の全額を住宅の新築・取得代金に充てること
- 2027年3月15日までに入居するか、同日後すぐに入居することが確実と見込まれること
- 遅くとも2027年12月31日までに入居すること
2027年12月31日までに入居しなかった場合は、原則として特例を使えなくなり、修正申告が必要です。
参考:国税庁「No.4508 受贈者・住宅の要件」
2026年に贈与を受ける場合の正しいスケジュール

住宅資金贈与は、金額よりも「順番」と「期限」で失敗しやすい制度です。
贈与前:住宅性能・名義・完成時期を確認する
まず、施工会社に次の3点を確認します。
- 1,000万円枠の対象となる省エネ等住宅か
- 申告に必要な証明書を発行できるか
- 2027年3月15日までに新築の要件を満たせる工程か
夫婦共有にする場合は、自己資金、親からの贈与、住宅ローンを誰がいくら負担するか整理し、登記持分も事前に司法書士や税理士へ相談しておくと安心です。
2026年12月31日まで:贈与を受ける
2026年の制度を使うには、2026年1月1日から12月31日までに贈与を受けます。
贈与契約書を作り、親名義の口座から子名義の口座へ振り込み、その口座から施工会社へ支払うと、お金の流れを説明しやすくなります。贈与契約書やこの振込経路自体が非課税制度の条文上の必須要件という意味ではありませんが、贈与日と住宅代金に使った事実を示せるよう、通帳、振込明細、請負契約書、領収書を保存しておきましょう。
2027年3月15日まで:新築し、資金を全額使う
2026年に贈与を受けた場合、原則として2027年3月15日までに贈与資金の全額を住宅の新築等に充てる必要があります。
注文住宅の「新築」には、3月15日時点で完成していなくても、屋根(骨組みを含む)があり、土地に定着した建造物と認められる状態が含まれます。一方、建売住宅や分譲マンションの「取得」は、原則として3月15日までに引き渡しを受けなければなりません。工事や引き渡しが遅れそうな場合は、贈与を受ける年を安易に先行させないことが大切です。
参考:国税庁「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等のあらまし」
2027年2月1日~3月15日:贈与税を申告する
2026年分の贈与税の申告・納付期限は、**2027年3月15日(月)**です。受付は2027年2月1日(月)からです。申告先は、原則として贈与した親ではなく、贈与を受けた人の住所を所轄する税務署です。e-Tax、郵送、税務署への持参などで提出できます。
参考:国税庁「申告と納税・令和8年分」
贈与税0円でも申告が必要|主な必要書類
住宅取得等資金の非課税制度は、期限内に申告書と必要書類を提出した場合に限り適用されます。省エネ等住宅で1,000万円すべてが非課税になる人も、申告を忘れてはいけません。
基本となる申告書
- 贈与税の申告書 第一表
- 贈与税の申告書 第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)
主な添付書類
- 受贈者の戸籍謄本など、氏名・生年月日・親子関係を確認できる書類
- 2026年の合計所得金額を明らかにする書類(源泉徴収票など。所得税の確定申告状況により省略できる場合あり)
- 工事請負契約書または売買契約書の写し
- 建物の登記事項証明書、または不動産番号など必要事項
- 土地も対象にする場合は、土地の売買契約書や登記に関する書類
- 省エネ等住宅の1,000万円枠を使う場合は、住宅性能証明書など所定の証明書
- 3月15日時点で未入居・工事中の場合は、その状況に応じた追加書類
- マイナンバーと本人確認に関する書類
相続時精算課税も利用する場合は、第二表、相続時精算課税選択届出書、戸籍謄本などが追加で必要です。
必要書類は、土地の有無、完成・入居状況、住宅性能の証明方法によって変わります。2026年分の正式な様式とチェックシートが公開されたら、必ず国税庁の「令和8年分」を使ってください。
参考:国税庁「贈与税の申告等」/国税庁「パンフレット・手引」
相続時精算課税なら1,000万円の贈与税を0円にできる?
住宅資金の非課税枠を超えた部分がある場合や、所得要件などで1,000万円・500万円の非課税制度を使えない場合には、相続時精算課税を選べることがあります。
2024年以後の相続時精算課税には、年110万円の基礎控除と、贈与者ごとに累計2,500万円の特別控除があります。過去に特別控除を使っておらず、2026年に父から1,000万円だけを受け取る場合の贈与税は、次の計算で0円です。
1,000万円 − 年110万円の基礎控除 − 特別控除890万円 = 課税対象0円
贈与時の税額:0円
ただし、890万円は「完全な非課税」ではありません。原則として、父が亡くなったときに贈与時の価額を相続財産へ加えて相続税を計算します。2024年以後の年110万円の基礎控除部分は、相続財産への加算対象外です。
| 比較項目 | 住宅取得等資金の非課税 | 相続時精算課税の特別控除 |
| 贈与時の税金 | 限度額まで0円 | 控除枠まで0円 |
| 親の相続時 | 非課税にした部分は原則加算しない | 基礎控除後の贈与額を原則加算 |
| 一度選んだ後 | 暦年課税の選択を拘束しない | 同じ贈与者について暦年課税へ戻せない |
| 申告・届出 | 期限内申告が必要 | 初回は選択届出。特別控除を使う場合は期限内申告が必要 |
2026年12月31日までの住宅資金贈与では、一定の住宅要件を満たせば、親が60歳未満でも相続時精算課税を選べる特例があります。また、住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税は併用可能です。その場合は、まず住宅資金の非課税額を控除し、残額から年110万円の基礎控除、累計2,500万円の特別控除の順で差し引きます。
参考:国税庁「No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」/国税庁「No.4506 住宅取得等資金とそれ以外の財産を同一年中に贈与されたとき」
相続時精算課税は、将来の相続税やほかの財産の贈与にも影響します。一度選ぶと同じ親からの贈与を暦年課税へ戻せないため、「今回の贈与税が0円になる」という理由だけで決めず、親の財産総額や今後の贈与予定まで含めて税理士に試算してもらうのが安全です。
失敗しやすい9つの注意点
1.税額0円だから申告しない
最大の注意点です。住宅取得等資金の非課税は、自動で適用されません。1,000万円が全額非課税でも、2027年3月15日までの申告が必要です。期限後では原則として特例を使えません。
2.「省エネ住宅」という営業説明だけで1,000万円枠を見込む
1,000万円枠には、税制上の基準を満たすことと、所定の証明書で証明することの両方が必要です。施工会社に証明書の名称、発行時期、費用まで確認しましょう。
3.親からもらった1,000万円を使い切らない
贈与資金は、原則として翌年3月15日までに全額を住宅の新築等へ充てる必要があります。住宅代金が贈与額より少ない場合や、一部を預金として残した場合、その部分まで住宅資金の非課税にはできません。
4.家具・家電や税金、仲介手数料に使う
売買契約書の印紙、不動産仲介手数料、不動産取得税、登録免許税は、住宅の取得に伴う費用ではあっても、原則としてこの制度の「新築等の対価」には含まれません。一方、住宅建築に直接必要な設計料や、住宅と一体で取得する一定の附属設備は含められる場合があります。
参考:国税庁「住宅用家屋の新築等の対価又は増改築等の費用の範囲」
5.贈与を受けた人の名義が建物に入っていない
贈与を受けた子が建物を所有しない場合、この非課税制度は使えません。共有持分でも対象になり得ますが、資金負担と登記持分がずれると、夫婦間などで別の贈与が生じる可能性があります。
たとえば3,000万円の家について、夫が2,000万円、妻が1,000万円を負担したのに持分を2分の1ずつにすると、夫から妻へ500万円を贈与した扱いになり得ます。
参考:国税庁「No.4411 共働きの夫婦が住宅を買ったとき」
6.配偶者の親から自分がもらう
配偶者の父母は、自分の直系尊属ではありません。夫の父から妻へ、妻の母から夫へ贈与する場合は、原則として住宅取得等資金の非課税を使えません。配偶者本人が贈与を受け、住宅の持分を取得する形を検討します。
7.父と母から各1,000万円なら2,000万円まで非課税だと思う
非課税限度額は贈与者ごとではなく、贈与を受けた人ごとです。父から1,000万円、母から1,000万円を受け取っても、省エネ等住宅の非課税枠は合計1,000万円までです。
参考:国税庁「祖父と父の両方から住宅取得等資金の贈与を受けた場合」
8.土地代だけに使い、家の建築が間に合わない
住宅の新築に先行して取得する土地代も対象になり得ます。ただし、2026年に贈与を受けたなら、原則として2027年3月15日までに、その土地の上で住宅が新築または新築に準ずる状態になっていなければなりません。土地を買っただけで建築が始まっていない場合は対象外です。
参考:国税庁「住宅用家屋を新築するための土地の購入資金に充てる場合」
9.住宅ローン控除を贈与前の取得価格で計算する
住宅取得等資金の贈与の特例と住宅ローン控除は併用できます。ただし、住宅ローン控除の計算では、住宅の取得対価から、この贈与の特例を適用した金額を差し引く必要があります。借入残高だけを見て計算すると控除額を過大に申告するおそれがあります。
参考:国税庁「住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係」
よくある質問
親から1,000万円を手渡しでもらっても非課税になりますか?
手渡しだから直ちに制度を使えないとは限りませんが、贈与日や資金の使途を証明しにくくなります。親から子の口座へ振り込み、子の口座から施工会社へ支払い、贈与契約書と振込記録を残す方法が実務上わかりやすいでしょう。
親が施工会社へ1,000万円を直接払った場合はどうなりますか?
親が子の負担すべき代金を支払えば、原則として子への贈与の問題が生じます。ただし、契約名義、支払義務者、登記持分、お金の流れによって判断が変わるため、支払前に税務署または税理士へ確認するのが安全です。証拠を明確にするなら、親から子へ贈与し、子が自分の住宅代金として支払う流れがわかりやすいです。
2026年に1,000万円をもらい、家の完成が2027年4月でも大丈夫ですか?
注文住宅の新築なら、2027年3月15日時点で屋根の骨組みがあり、土地に定着した建造物と認められるなど「新築に準ずる状態」であれば、完成が4月でも対象になり得ます。入居も3月15日後すぐに行うことが確実で、遅くとも2027年12月31日までに居住する必要があります。建売住宅や分譲マンションの取得は、原則として3月15日までの引き渡しが必要です。
親から土地をもらい、その上に家を建てる場合も1,000万円非課税ですか?
土地そのものの贈与は、住宅取得等資金の非課税の対象ではありません。この制度が対象にするのは、住宅の新築等に充てるための金銭です。親から土地そのものをもらう場合は、土地の相続税評価額を基に、別途贈与税を検討します。
親からの1,000万円で住宅ローンを繰り上げ返済できますか?
繰り上げ返済のために受け取ったお金には、住宅取得等資金の非課税制度を使えません。住宅を新築・取得する際の対価に充てるための金銭であることが必要です。
夫婦それぞれが親から1,000万円ずつもらえますか?
夫と妻がそれぞれ自分の父母・祖父母から贈与を受け、それぞれが年齢・所得などの要件を満たし、資金負担に応じた建物持分を取得するなら、夫婦それぞれに非課税枠が適用される可能性があります。どちらか一方だけの名義にすると、もう一方が制度を使えないだけでなく、夫婦間の贈与が問題になることがあります。
1,000万円の非課税分は、親が亡くなったとき相続財産に戻されますか?
住宅取得等資金の非課税制度によって贈与税の課税価格に入らなかった金額は、原則として贈与者の相続財産へ加算する必要はありません。相続時精算課税の特別控除を使った部分とは扱いが異なります。
参考:国税庁「非課税の特例を受けた住宅取得等資金の相続財産への加算」
申告は親と子のどちらがしますか?
申告と納税をするのは、原則として贈与を受けた子です。子の住所を所轄する税務署へ申告します。
まとめ:1,000万円が非課税になるかは「住宅性能・期限・申告」で決まる
親から住宅資金として1,000万円をもらう場合の結論は、次のとおりです。
- 要件を満たす省エネ等住宅なら、贈与税は0円
- 省エネ等住宅以外なら、非課税500万円と基礎控除110万円を使い、贈与税は原則48万5,000円
- 住宅取得等資金の非課税制度を使えなければ、贈与税は原則177万円
- 相続時精算課税で贈与時0円にできる場合もあるが、将来の相続税とセットで判断する
- 贈与税0円でも、2027年3月15日までの期限内申告が必要
これから家を建てるなら、親からお金を受け取る前に、施工会社へ「1,000万円枠の証明書を出せるか」「2027年3月15日の建築要件に間に合うか」を確認してください。あわせて、贈与額、自己資金、住宅ローン、登記持分が一致するように資金計画を作ることが大切です。
1,000万円という大きな援助だからこそ、契約や振り込みを済ませてから税金を調べるのではなく、贈与前に確認することが、もっとも確実な節税対策になります。
この記事の根拠資料
本記事は、2026年8月23日時点で確認できる次の公的資料を基に作成しています。
- 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
- 国税庁「No.4508 Q&A」
- 国税庁「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等のあらまし」
- 国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
- 国税庁「No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」
- 国税庁「贈与税の申告等」
税務上のご注意
本記事は一般的な制度をわかりやすく説明するもので、個別の税務判断を代替するものではありません。共有名義、親から施工会社への直接払い、国外居住、過去の特例利用、相続時精算課税の選択歴、贈与者の相続が近い場合などは、実行前に所轄税務署または税理士へご確認ください。
